メトロイドヴァニアというジャンルが誕生してから何十年も経ち、そのピークは過ぎたのではないかという声も聞かれるようになりました。かつての黄金期と比べると、全体的な盛り上がりには陰りが見えるかもしれません。しかし、このジャンルは本当に「オワコン」なのでしょうか?
黄金期との比較
メトロイドヴァニアの金字塔といってもいいエンダーリリィズやブラッドステインドなどのゲームが出ていたころに比べると、ビッグタイトルの供給が激減してしまっています。
すると全体として話題になる機会が減ってきて、盛り上がりに欠ける様相を呈しているように見えます。
しかし、これはメトロイドヴァニア固有の問題というよりも、ゲーム業界全体の構造変化によるものかもしれません。
名作の供給問題はジャンル共通の悩み
実際、話題性のあるビッグタイトルの供給に苦しんでいるのはメトロイドヴァニアに限った話ではありません。現代のゲーム市場には以下のような傾向があります:
- 多くのゲーマーは新作よりも過去の名作をプレイし続ける傾向にある
- 新作を購入する場合でも、その大半は知名度の高い超大作に集中しているため、中小規模の新作タイトルは質が高くても埋もれてしまうことが多い
これはメトロイドヴァニアだけでなく、あらゆるジャンルで見られる現象です。
娯楽の数が膨大すぎるぐらいに増えてしまった現代では、一部の超大作しか消費者の興味を惹くことが難しく、中堅ぐらいの作品はチェックすらしてもらえないことも多いです。
優れた新作メトロイドヴァニアゲームが存在しないわけではないのですが、話題をかっさらうレベルとなると、厳しいのが現実でしょう。
市場全体の縮小
全体として見れば、2Dアクションゲームの市場は縮小傾向にあることは否めません。AAA級の3Dオープンワールドゲームが主流となり、マーケティング予算の大半もそちらに注がれている現状では、メトロイドヴァニアなどの2Dジャンルが以前のような主流の地位を取り戻すのは難しいでしょう。
それでも生き残る理由
しかし、メトロイドヴァニアには独自の生存理由があります。最大の強みは、比較的低予算で製作可能という点です。AAA級タイトルの開発には数百億円の予算が必要となる一方、質の高いメトロイドヴァニアゲームはそれよりもはるかに少ない予算で開発できます。
インディーデベロッパーにとって、メトロイドヴァニアは表現の場としても理想的です。限られたリソースで深いゲーム体験を提供できるこのジャンルは、今後も新たな才能の登竜門として機能し続けるでしょう。
個人的な希望。2D市場の未来
個人的な感想としては、メトロイドヴァニアを含む2Dゲーム市場には今後も存続してほしいと思います。3Dゲームにはない独特の美学と遊びの純粋さがあり、ゲーム表現の多様性を保つ上でも重要です。
また、近年のレトロゲームブームやピクセルアートへの再評価を見ると、2Dゲームへの一定の需要は今後も続くと予想されます。技術的に「古い」形式であっても、その中で新しい表現や遊びを追求する余地はまだまだ残されています。
何より私たちができることは、とにかく買い支えることです。ちゃんと客がいるんだと示し続けることがジャンルの存続につながります。